2026/09/18 19:20

「90年代っぽいデザイン。」

よく使われる言葉だ。

でも、90年代をひとつのスタイルとしてまとめると、少し違和感がある。

10年ある。

当然、その間に音楽も街もテクノロジーも変わった。

デザインの空気も変わっていった。

もちろん、年号できれいに線を引けるわけではない。

それでも大きな流れとして見ると、90年代のグラフィックはかなり表情が違う。

90年代前半。

この時期に感じるのは、粗さと手作業感。

コピーしたような写真。

切り貼り。

手書き文字。

ハーフトーン。

歪んだタイポグラフィ。

ノイズ。

綺麗に整列させるよりも、

「とにかく伝える」

というエネルギーが前に出ている。

グランジ、DIY、レイヴなどとも相性がいい。

完成された広告というより、

フライヤーやZINEのような空気。

そこが格好いい。

90年代中盤。

ストリート、ヒップホップ、スケート、ワーク。

服そのものの存在感が強くなっていく。

大胆なロゴ。

太い文字。

カレッジ的なアーチ。

スポーツやワークウェアを感じるグラフィック。

大きなボディに大きなプリント。

グラフィック自体がスタイルの中心になっていく。

街で見たときに、

一瞬で「何か分かる」。

そんな強さがある。

90年代後半。

今度は、少し未来を見るようになる。

デジタル。

テクノ。

サイバー。

テクニカル。

シャープなライン。

機械的な文字。

座標や数字。

警告表示のようなグラフィック。

2000年が近づくにつれて、

「これから何かが変わる」

という空気がデザインにも現れていく。

全部を混ぜれば90年代になるわけではない。

ここが面白い。

かすれ加工。

ネオンカラー。

太いフォント。

サイバー文字。

全部をひとつに入れても、

必ずしも90年代にはならない。

大事なのは、

「そのデザインが、どんな文化の中にあったのか。」

そこまで考えることだと思う。

SEAPORTが見ているのも、そこ。

90年代の見た目だけをコピーするのではなく、

なぜその形になったのか。

何と一緒に存在していたのか。

どういう空気だったのか。

そこを掘っていく。

過去を再現するためではない。

今着る服をつくるために、過去を見る。

だから同じ90年代でも、

グランジから考える服と、

ワークから考える服と、

サイバーから考える服では、

答えが違っていい。

90sはひとつじゃない。

その違いまで楽しむことが、SEAPORTの服づくりの一部です。