2026/09/18 19:12
90年代の服を見ていると、ときどき不思議に思う。
30年以上前のものなのに、今見ても格好いい。
むしろ、少し色褪せたプリントや、今なら「バランスが悪い」と言われそうな大きなロゴ、ゆったりしたシルエットに惹かれることさえある。
もちろん、単純に懐かしいからという理由もある。
でも、それだけではないと思う。
完成されすぎていなかった。
90年代のグラフィックには、今ほど整っていないものが多かった。
粗い写真。
かすれた文字。
手書きの線。
コピーしたような質感。
強引なレイアウト。
フォントの組み合わせも、必ずしも綺麗ではない。
今のデザインソフトなら数秒で整えられるような部分を、あえてそのまま残しているようにも見える。
でも、その「整っていなさ」に人の手を感じる。
完璧ではないから、記憶に残る。
そんなデザインがたくさんあった。
カルチャーと服の距離が近かった。
音楽を聴いていたら、好きなアーティストの服装が気になった。
スケートの映像を見ていたら、履いているパンツやスニーカーが欲しくなった。
雑誌を読んでいたら、知らなかったブランドを見つけた。
古着屋へ行けば、どこの誰が着ていたのか分からない服に出会った。
服だけを見ていたわけではなかった。
音楽、映画、スケート、車、アート、街。
いろいろなものの延長線上に服があった。
だから、服を見ただけで当時の空気まで思い出す。
たぶん、それが強い。
今、同じ格好をする必要はない。
だからといって、90年代の服装をそのまま再現したいわけではない。
あの頃と今では、年齢も体型も生活も変わった。
昔のように何でも大きく着ればいいとも思わない。
必要なのは、再現ではなくアップデートだと思っている。
肩を少し落とす。
身幅には余裕を持たせる。
でも着丈は長くしすぎない。
昔好きだった空気は残しながら、今の自分が自然に着られるバランスへ変える。
それでいい。
懐かしさだけでは終わらせない。
SEAPORTが90年代を見るとき、昔をそのままコピーすることはしたくない。
好きなのは、表面的なデザインだけではないからだ。
少しいびつだったこと。
何かに夢中だったこと。
自分たちの好きなものを、自分たちなりのやり方で表現していたこと。
その精神まで含めて、今の服にしたい。
昔好きだったカルチャーを、今の自分で着る。
90年代は過去だけれど、
そこで好きになったものまで、過去にする必要はない。
CARRY YOUR ROOTS.
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ひとことで「90s」と言っても、10年間で空気は大きく変わった。
グラフィックから90年代を見てみます。
「ヴィンテージ風」と「ヴィンテージから学ぶ」は何が違うのか。
昔っぽく見せることと、昔のデザインから学ぶこと。
その違いについて考えます。

