2026/09/06 08:30
10代や20代の頃。
好きなバンドのTシャツを着て、
太めのパンツを穿いて、
スニーカーを選んで。
アメカジ、ストリート、古着、音楽。
服は単なる「着るもの」ではなく、自分が何を好きなのかを表すものだった。
でも30代を過ぎ、40代が近づいてくると、少しずつ服を選ぶ基準が変わってくる。
「この格好、若すぎないか。」
「このTシャツ、もう似合わないかな。」
「40代なら、もっと無難な服の方がいいのか。」
そんなことを一度は考えたことがある人も多いと思う。
好きなものが変わったわけじゃない。
不思議なのは、年齢を重ねても好きなものそのものは、それほど変わっていないことだ。
昔聴いていた音楽を今も聴く。
古いアメリカのワークウェアを見ると格好いいと思う。
90年代のストリートやスケートカルチャーにも、いまだに惹かれる。
変わったのは、好きなものではない。
自分自身だ。
体型も変わった。
生活も変わった。
仕事もある。
家族がいる人もいる。
20歳の頃と同じ服を、同じように着ればいいわけではない。
でも、それは好きな服をやめる理由にはならないと思う。
変えるのは、カルチャーではなく「着方」。
例えばTシャツ。
若い頃なら、とにかく大きいサイズを着るだけでも成立した。
でも大人になると、
肩の落ち方。
身幅の余裕。
着丈の長さ。
パンツとのバランス。
ほんの少しの違いで、同じストリートスタイルでも見え方はかなり変わる。
ピタピタにする必要もない。
逆に、ただ大きくする必要もない。
今の自分に合うバランスへ調整すればいい。
それだけで、昔から好きだった服はまだ十分に着られる。
若作りもしない。オジサンにもならない。
SEAPORTが考えているのは、その間にある服だ。
若い人の流行をそのまま追いかけるわけではない。
だからといって、年齢を理由に好きだったカルチャーを全部手放すわけでもない。
アメカジも。
ストリートも。
ワークも。
古着も。
音楽も。
自分が好きだったものを残しながら、今の自分に似合う形へアップデートしていく。
40代だからこそできる着方があると思っている。
敦賀という街から。
SEAPORTは福井県敦賀市で生まれた。
海があり、港があり、人や文化が行き交ってきた街。
東京でも、ロサンゼルスでも、ニューヨークでもない。
地方にいるからカルチャーから遠い、とは考えていない。
自分たちが暮らしてきた場所。
聴いてきた音楽。
着てきた服。
見てきた景色。
そういうもの全部が、自分たちのルーツになる。
現在のコレクション「THE TIDELINE」にも、敦賀という場所から外の世界へ向かっていく感覚を込めている。
ただし、敦賀を説明するための服を作りたいわけではない。
まず一着の服として格好いいこと。
そのあとで背景を知った時、
「だからこのデザインなのか」
と思ってもらえること。
その順番を大切にしたい。
好きだったものは、持っていけばいい。
年齢を重ねるということは、何かを捨て続けることではないと思う。
昔好きだった音楽も。
服も。
街も。
カルチャーも。
全部持ったまま、次へ進めばいい。
20代と同じ格好をする必要はない。
でも20代の頃に好きだったものまで、置いていく必要もない。
自分のルーツを持ったまま、今の自分に似合う形へ変えていく。
SEAPORTが作りたいのは、そんな服です。
Carry Your Roots.
好きなカルチャーは、そのままでいい。
